光陰矢の如し

 5月23日に久しぶりにライヴを観に行った。かみさんと一緒にである。ドガドガガンガンのバンドじゃないってことだ。前々から観てみたいなぁ~~っと思っていた、井上陽水

 俺と陽水って意外かもしれないけれど、何気にリスペクトしているんだよ。耳に残りやすいメロディーに人の心に突き刺さる言葉の選択と、侮れんところがあるじゃないの。フォークというカテゴリから飛び出ちゃっているところがある。俺らの一つ上の世代にとっちゃおなじみの人だろう、俺らのフォーク世代というと、第2次フォークブームっちゅー感じで、ちょいとばかり洗練された感がある。陽水の時代って、学生闘争、ベトナム戦争がリアルタイムに挟まっているから、思想的な部分があるんだと思う。「氷の世界」が当時、100万枚売れたってことも凄いよな。あのアルバムをちゃんと評価出来る時代だったってことだよな。今は、こんな難解なアルバム売れるわけがねぇ!!!

 しかし、ライヴのチケットを取るのが面倒になったねぇ、先行抽選があって、こいつに漏れると発売当日にパソかスマホ片手に必死こいてチケットゲットせにゃならん訳さ。今回、運良く先行抽選に当たり、良い席が御用意されたわけだ。

 当日、17:30開場前に国際フォーラムに着いた。ここは、音が良いんだよねぇ、おまけに席幅が大きく出来ておるし、席の配置がジグザグにしてあるから座っておっても観づらいってことがない。あれだけデカイのに5000人ちょっとしか入らない。ここでねぇ、ジェフ・ベックを2回に観ておる。はじめは、2階席だった。2階なのに観易いのよ。次が1階席だった。
 今回は、1階の左よりの前から15列目でございます。左に寄っちゃっているのが残念だけれど、これだけ前から観れるのは良いねぇ。年齢層は、俺よりも高い方々、陽水が70歳だからねぇ致し方ない。そうそう、今回のツアーの題目は、50周年記念ライブツアー『光陰矢の如し』~少年老い易く 学成り難し~

 開演は、18:30、外タレだと定時に始まるなんてことはないけれど、陽水も70歳引き伸ばしてど~うのという感じじゃないし、皆さん着席して待たれておりますよ。そして、18:35徐々にライトが落ちてゆき、ライヴスタート!! ワァーーーという歓声と共に陽水登場。
 
 1曲目は、俺に馴染みがない「あかずの踏切」氷の世界の1曲目なんだけれど、当時としちゃフォークではなく、ロックなんだよねぇ。でも、音が割れてんでぇ! PAちゃんとやれよなぁ、生陽水を聴きに来ているのに割れて埋もれちゃ駄目だろ!

 3曲目の「5月の別れ」のアコギの音に乗り陽水の歌声が淀みなく届くようになった。上手すぎ、当たり前だけれど、歌上手すぎ。そして、猛烈な存在感と、説得力かなぁ、凄いわ。

 曲の合間に肩の力が抜けた陽水の語りがある。会話の間にある妙な間は、年齢によるものらしい。長いことやってきて、この間でも笑ってもらえるようになったと言っていた。独特の語り口と、曲の持っている緊張感のギャップが不思議であるし、それが感動を呼ぶのかもしれない。

 ギター1本で、東京にやってきて、一人だったのに50年の間にいつの間に家族も増え、娘が誕生したときに書いた曲ですと紹介があり「海へ来なさい」が歌われた。持っていたCDの中に入っていたんだけれど、気にもしていなかった。切々と歌う陽水の言葉に耳を傾けていたら、涙が出てきた。曲を聴いていて涙が出てきたのは、初めてだなぁ、おっさんになったのかなぁっと、思ったら、かみさんも同じ曲で涙が出てきたと言っていた。あぁ同じ感性をしているのかぁと思った。

 そして、清志郎との競作の曲の製作過程が語られ、「お前がこー作るんだったら、こーしちゃおうかなぁ」っと、作ったのがと語られ、「帰れない二人」が歌われる。俺の大好きなギターリスト今堀恒雄アコースティックギターが冴え渡る。そして、ドラムは、これ又、俺が大好きな山木秀夫だった。66歳とは思えないパワフルなドラムワークである。パパッと作られたように語られているけれど、そんなことあるわけねぇじゃん。 

 「皆さまに大切なお知らせがあります、これから15分間休憩になります」 客層が高齢だから、気を遣っているのか、陽水が休憩したいのか定かではないけれど、一斉にトイレにGOである。俺も最近頻尿だから、トイレにGO!

 メドレーで、7曲こなし、「氷の世界」で1度引き込み、アンコールで3曲歌い、ラストは、「傘がない」である。ラストにこれを持ってきちゃう? と思った。テレビでインタビューに答えていたけれど、「うーーん、どういったらいいのか分からないけれども、この曲には、意味があると思うんです」と答えておったけれど、あなた、散々この曲を流しておいて、今更、そんなことを言われてもと、思ってしまった。天然なのか、計算なのかよー分からないけれど、歌が恐ろしく上手く、説得力があり、存在感があるアーティストは、少なくなった。時代を越えるとメッセージが色あせてしまう曲が多い。50年聞き継がれ、影響力を与えるのは、大変なことだ。50周年おめでとうございます。夫婦揃ってよいもんを見せて頂きました。

 

5月23日 国際フォーラム セットリスト

あかずの踏切
アジアの純真
Make- up Shadow
5月の別れ
青空、ひとりきり
新しいラプソディー

移動電話
海へ来なさい
心もよう
帰れない二人

(休憩15分)

女神
カンドレ・マンドレ (以下7曲メドレー)
闇夜の国から
ダンスはうまく踊れない
飾りじゃないのよ 涙は
とまどうペリカン
ワインレッドの心
ジェラシー

少年時代
リバーサイドホテル
最後のニュース
夜のバス
氷の世界

アンコール

御免
夢の中へ
傘がない