未だ、現役レッドフォード

 いい男の定義。 俺たちの世代のいい男っちゅーと、男っぽさが第一条件で、そのあとに容姿がついて回る。 優作、マックイーン、ブルース・リー、ここら辺は、散々書いておるが、俺らの世代の定番である。 二枚目じゃないけれど(言い回しが古いな)男が惚れる男だな。 
 今はこの手のタイプは、流行らない。 綺麗で、二枚目というのが定義になる。 あぁ今の世代で、この系統として残っているのは、江口洋介仲村トオルかな、文句いうヤツがいるかもしれんが、二枚目ではなく、男臭さが出ている今どき珍しいカテゴリー。 

 そんな中で、老若男女誰からも、好感が持たれるというのは、なかなか少ない、ロバート・レッドフォードはそんな一人だと思う。 なんだろうねぇ、誰でも好かれる清廉潔白な万年青年のような感じかな。 そんな役者は、居らんよな、でも、犯罪者とか、詐欺師、殺人者と、色々演じているんだよね。 思っている以上に演じている幅は広い。 

 未だ、現役で、映画に出て、作り続けている。 イーストウッドと双璧かな。 俺は、どっちも好きだ。 

 今回観たのは、レッドフォード77歳のときに出た作品 オール・イズ・ロスト 

 この映画、レッドフォードしか出ておらん。 唯一出てくるのが、誰だか判らない人物の手だけ。 題名から推測できるように何もかも失ってしまった話しである。 人生の中で失うのではなく、海の上で失うのである。 ヨットによる単独艘破中の予期せぬ、事故の数々! それを孤軍奮闘するレッドフォード! 海に打ち捨てられたコンテナにヨットの横っ腹を穴を開けられ、もくもくと修繕する。 修繕間もない船を嵐が容赦なく叩きつける。 再度、嵐に遭い、結果、ヨットを放棄する。 

 何度も何度も、困難がやってくる。 これって、人生なんだよな。 色んなことが事が起きてさ、何回も何回も対処しているのにまだ、終わらず、困難がやってくる! 長く生きていると、そんなことの一度や二度は、遭っている筈だ。 俺が受けた教訓は、終わるまで、対処し続けるってこと。 そして、諦めないってことだと思っている。 それ以外に対処する術を俺は知らんよ。 

 セリフは、数箇所ある。 無線に入ってくる交信に答える場面と、あまりの出来事に怒りをあらわに Fuck!! と叫ぶ。 それ以外は、災難を淡々と対処した映像が流れるのみであるが、途中から、完全に感情移入しておる。 おいおい、どうなっちゃうんだよ? 諦めるのか? と、レッドフォードに擦り寄っている。 それだけで、2時間観させてしまう技量って、凄いよ。 

 俺、個人的には、今年観た映画の中で、ナンバー1だ。