俺、マゾヒストのリロイ

 映画眼力と、知識と、金がそこそこ出てきた十代の頃、とりあえず、映画を観まくった。 B級映画から、名作、カルト作品etc 基本、カッコイイというのが、重要だったかな。 思春期って、突然、人生の大平原に出ちまったようなもんじゃん? どこに進んでいっても良い訳だし、どこにでも繋がっている。 酒に女に自由である!! しかし、言葉だけは、人から受け売りなのである。

 タクシードライバーゴッドファーザーpartⅡ、ブレードランナー地獄の黙示録エクソシスト明日に向かって撃て、スティング、挙げると定番ばっかだな。 アメリカのテレビドラマもよー観ておったな。 スタスキー&ハッチ、スパイ大作戦、ロックフォードの事件メモ、あと、題名は忘れたけれど、イギリスのちょっと野暮ったい刑事ドラマとも好きだった。 

 そん中で、アメリカン・ヒーローがあった。 白黒のテレビを買って、自分の部屋で、見れるようになった。 チャンネル争いから、開放され、夜中にこっそり、スケベなテレビも見れるようになった。 AVなんてなかった頃だから、高が知れているんだけれどな、それでも、嬉しかった!! なんでも、見れたり、手に入っちゃ駄目なんだよ、多少、不便な方が丁度いい。 

 このアメリカン・ヒーローに出ておったのが、ウィリアム・カットで、大きく澄んだ目で、金髪のカーリーヘアーなんだ。 まさにアメリカ〜ンって感じ。 あの爽やかさは、憧れたなぁ、絶対に俺になんか出来ない代物さ。 そして、エア・ウルフに出ておったジャン・マイケル・ビンセント!! これ叉、カッコよかった! 顔が小さくて、しなやかで、引き締まった身体。 ジャン・マイケル・ビンセントも、日本人じゃ出てこない類の人。 この二人の若かりし頃に共演した映画が、ビッグウェンズデイ

 俺らの一世代前の連中のサーフィンブームの火付け役になった。 俺の中じゃ、サーファーって、あんま印象がよろしくなかった。 真っ黒で、原始人のような茶髪なのになぜか、爽やか! 黒いもんだから、歯がキラキラしちゃっている。 あれだな、ナンパなイメージがあるからだな。 でも、実際は、朝っぱらから海にいる、ボードで、波に乗るから、体力いる、相手が海なもんだから、情け容赦ない! これと似ているのが、実は、山男だったりする。 朝っぱらから登る、登ったり、下ったりだから、体力がいる、相手が山名もんだから、情け容赦ない! 只一つ違うのは、サーファーには、綺麗なねえちゃんが付くんだ。 そこら辺が、ナンパのイメージをつけてしまうのかな。 基本、自然が相手のスポーツは、本気じゃないと出来ない。

 さて、ビッグウェンズデイであるが、傑作になりそこねた作品である。 ところどころ良いところはあるのだが、惜しいのだ。 オープニング、壊れた海に通じる門を抜けて、3人が入ってくるんだ。 ラスト、再び、その門から抜けてゆく。 これも、もっと分かりやすく撮ることをしておれば、「おぉ!」 っと思うのに。 バックグランドの設定で、ボード職人のベアが出てくる。 これが叉、分かりづらい。 3人のサーファーを引っ張ってゆく設定だったのだろうが、話の要所要所に出てくるおじさんと化している。 そして、時間の経過が分かりづらい。 ランチキパーティーの十代から始まり、ガキが出来て、職に就き、10年以上は経過している筈なのにぃ全然感じないのだ。 キャンパスライフが終わって、数年みたいな感じである。 そこら辺のことを感じさせることが出来たら、傑作とは言わないが、秀作になっておったのに! ちょっと残念。 

 でも、良い映画であり、俺のお気に入りであることに変わりはない。 ゲイリー・ビジーがマゾヒストのリロイを演じており、悪役ではなく、爽やかな映画に出ておることもレアで、よろし!