何が起こるか、わかったもんじゃない

 先日、職場に新しい人が来た。 俺より、一つ歳下のおじさん。 自己紹介で 「岩手生まれです」 と言っておったので、もしかしてと思い 「3.11大丈夫でしたか?」 と聞いた。 そしたら、「母親が住んでいた家が流されました」 と返ってきた。 「大変でしたねぇ」 と言ったら、「あの地震が原因で、母親、認知症になってしまって」 と来た。 地震発生後、映像で、見たことあるスーパーが津波でやられて、見る影がなく、空撮写真で、自宅を確認したところ、家が無事なように見えたが、止めてあったはずの車2台がなくなっていることに気づき、「母親、死んだかもしれん」 っと、兄に話したらしい。 そして、生きていることが分かったけれど、むかえに行くにもガソリンがなかなか手に入らず、1週間後に現地入りした。 実家は、海から5キロ離れておったのだが、川が近くにあり、水の逆流が起き、水が溢れ、流されたらしい。 
 兄弟で話し合い、母親の面倒を見るために仕事を辞めた。 彼は、福島に家を買っており、そこを人に貸しておったのだが、福島という時点で、想像ができるかもしれないが、原発放射能濃度が高くなり、立ち入り禁止区域になり、借り手も出て行ってしまい、借金だけが残ってしまったらしい。 今は、立ち入り禁止は解除されたが、東京に比べると、放射能濃度は10倍あるらしい。 役所の仮宿舎のような形で借りられ、辛うじて、何とかなっているらしい。 

 「いやぁ、地震で、人生狂っちゃいましたよ」 っと、反笑いで言っていた。 東京じゃ、徐々に3.11のことは、忘れられつつある。 身近にそーいった話を聞くと、人生は、何が起こるかわかったもんじゃないなぁ。