あなたが必要な未来は、殺されること

 8月に丸の内ルーブルが閉じた。 大箱の映画館は閉じんと思っておったから、ちょっと、ショックだ。 勝手にショックを受けておきながら、ルーブルにかなり長く足を運んでおらん。 俺も、その原因を作った一人だっちゅーことだ。 ここ数年、映画は、CSで観るか、ネットで、観るかのどっちだった。 映画館に足を運んでおらんかった。 映画を語っておりながら、なんとも恥ずかしい限りである。 淀川長治先生に怒られるな。 
 最近じゃ、映画館に観に行ったといっても、シネコンだから、画面が小さいんさ。 150名から大きくて、400名位のキャパだ。 そこら辺に客が集まっちゃいるけれど、それ位のサイズだったら、家にデカイ画面のテレビと、3Dスピーカーを持ち込んだんだらいい勝負になるかもしれない。 
 そんなことを考えておると、映画館の価値って一体? ってことになってしまう。 結局のとこ、大画面に大音響に行き着くことになる。 

 有楽町の変貌にちょっと怒りを覚え、何年ぶりに駅に降りたんだ? 交通会館前に出ると、丸井が御出迎えする。 有楽町の昭和感が薄らいでしまった。 それでも、その隣を見ると、果物屋があり、昔っからある中華料理が残っていた。 ちょっと嬉しかった。 有楽町駅前にコンビニが出来た。 真っ直ぐ抜けると、懐かしのマリオンが鎮座している。 

 丸の内ピカデリーに オール・ユー・ニード・イズ・キル を観に来た。 

 トムチンの映画は、何年ぶりに映画館で観るんだ? 多分、あれだ初主演作の 「卒業白書」 以来じゃないか? しらべたら1983年だって、おいおい30年ぶりかよ! 散々トムチンのことをいっておいて、ちゃーんと映画館に足を運んだのは、30年ぶりか。 金を払わずして、文句ばっか言っておったのか、そりゃ駄目だ。 

 デカイ劇場は、やっぱ良いな。 シネコンだと、キャパによっちゃ200名以下のところもある。 そこまで、小さくなったら、名画座と変わらんよ。 そうそう名画座も、軒並みなくなっているんだ。 新橋のガード下も、8月一杯なんだよな、無くなる前に足を運びたいなぁ。 チケット買うとき、座席を指定して入るんだけれど、「前の方だと、画面が大きいので、観づらいです」 と説明していた。 良いねぇ、デカイって。

 今回観た、オール・ユー・ニード・イズ・キル 日本のライトノベルが原作なのだ。 あれだ、あれ、中高生が読むヤツね。 とか言って、差別しちゃ駄目なんだろうなぁ、優れた作品はあるようだからな、如何せん、おっさんになって、ライトノベルはちょっと。 

 映画が始まり、一途はじめに思ったのは、「トムチン、老けたなぁ」 であった。 ちゃーんと観た、最期の映画が コラテラル であった。 コラテラルから、10年である。 さすがのトムチンも、老ける訳である。 デジタル上映がされるようになって、もしかしたら始めての映画館かもしれない。 あまりにもクリアなことに驚いた。 フィルムのボヤけた感じが一切ない。 お前、いつから劇場に足運んでいないんだよ、って感じだ。 

 唐突に物語りは、始まり、トムチンいきなり、戦場に送られてしまう。 ループもんだとは、聞いていたけれど、最近じゃループもんも使い古されたネタになっちまった。 ループもんって、あれだ、同じシーンを何回も繰り返して、話を広げて行くってヤツ。 バック・トゥ・フューチャーは、今となってはその手の古典だな。 使い古されたネタを料理する場合、目新しいことをせんと、観客は着いてこん。 うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーも、これに属すな。 ループもの、同じシーンを繰り返しながら、「おやおや」 というシーンを入れて、話の展開を持たし、伏線を張って、ラストに回収というパターンだ。 

 今回、観て思ったのは、ループものは、笑いが取れるということだな。 そして、そのシーン知っているよ、と見せておいて、展開を変えて、観客置いてゆき、着いてこさせるために伏線を出して、観客に回収させ、ラストで、ネタばらしである。 

 オール・ユー・ニード・イズ・キル 小さい設定でのお話しだから、どうやって展開させてゆくんだろうと思った。 新兵として、トムチンが配属され、強引に戦地に落とされ、全滅という流れを前半繰り返す。 主人公が 「このまんまじゃ、終わんねぇ〜じゃん」 と気づく。 
 最近の映画の傾向として、スピーディーに展開し、飽きさせない。 それと、金掛かてんどー。 映画の作り方として、アクションシーンを何分位入れて、何分後にどーいう展開と、計算されていると聞いた事があるが、夏の暑い日には、こーいうドカーン、ボカーン映画がよろし。 

 ラスト、「あれは、○×▼だから、あーなったんでしょ?」 と、言われ、「あぁそうかぁ」 っと、落ちをスルーし、お約束の平和的なループに安堵しておった。 

 やっぱ、トムチンは、重厚な役をやる岐路だな、そろそろギャングのボスなんてぇーの、どう?