ここ数年、テレビじゃ、ホームドラマがなくなってしまった。 最後のホームドラマは、渡る世間だったのかな。 常連の俳優さんも亡くなり、その手のもんに出演できる役者が減ってきているのも原因なのかな。 ホームドラマってさ、ちょっとばかり、野暮ったさがないと、成立しないと思うんだ。 キムタクも、ホームドラマもどきをやったけれど、なーんか違うだろ? 舘ひろしが、やったホームドラマは、髪の毛ポマードで、固めたようなおっさんは、居らんさ。 まじめな演技をするときの舘のスタイルは、中井貴一に似ておる。 つまり、大根ってこと!
時代劇は、辛うじて、生き残っておる。 季節ごとに新作映画が作られている。 テレビは、さすがになくなったな。 TBSのじいさん、ばあさんの味方の1時間ですべて解決の時代劇がなくなってからは、NHKくらいだ。 NHKも迷走しておって、視聴率取りに必死こいている。 金が掛かって、視聴率取れないんじゃ、作らないよな。
映画の時代劇は、ひっそりと上映されるから、気がつかんのだ。 CSで、放映されて 「ありゃ、こんなのやっていたんだ」 ということになる。 今回観たのは、花よりもなほ。
監督は、是枝裕和。 誰も知らない で、一躍有名になった。 何だろう、社会性の高い問題作って、ちょっとばかり苦手で、そして父になる も観る機会は、あったのだが迂回した。 是枝監督って、こんなんばっか撮っているのかと、思って、気にしておらんかった。 元々この監督、ドキュメンタリー畑の人だから、作風もそんな風になる。 それでも、所々でドラマを撮っておる。
そんな中に時代劇を撮っておった。 ドキュメンタリー畑の人だから、こてこての歴史もんを撮るか? というと、そーじゃなく、史実とフィクションを交えて、面白おかしく描いているのだ。
なんといっても、出演者がよろしい! 主人公青木宗左衛門に岡田准一、まぁ旬ですなぁ、引っ張りだこです。 演技が出来るだけではなく、ジャニーズだから、運動神経もよろしい。 俺個人は、真田広之の後継者と、密かに思っておる。 青木宗左衛門、江戸に出てきて、長屋住まいをしながら父の仇討ちを探しておるが、実は、剣はまるっきり駄目、争いごとが好きじゃーない。 こてんぱんにやられるシーンがあるんだけれど、如何せん運動神経がよろしいから、過剰にやられちゃって、運動神経が良いのがばれてるじゃん! 運動神経の悪い役は、運動神経が良くないと出来ない。 斬られるよりも、斬られ役のほうが上手くなくちゃ駄目っていうのと同じだな。
そして、長屋に住み、アホが作った生類憐みの令をバカじゃね? と思いながら、豊かな江戸ライフ満喫している貞四郎にここ数年出てきた最高のバイプレイヤー古田新太。 知っててやらない、知っててやるということ真情にしておる。 煮え切らない浪人平野次郎左衛門に汚れ役になりつつある香川照之。 他に浅野忠信、原田芳雄、上島竜兵、千原靖史、木村祐一。
青木宗左衛門おじ役で、石橋蓮司が出ている。 のらりくらりと、いい加減なヤツと思わせながら、仇討ちなんぞバカらしいと思っているおじをいつもの調子で演じておる。 しかし、いつから、蓮司って善人の役をやるようになったんだろう。 火曜サスペンス劇場の犯人役の常連だったのに!
バックグラウンドで、赤穂の仇討ちが描かれておる。 これが妙に話しに奥行きと、面白さを与えておる。 あれだ、是枝版山本周五郎だ。