次は、タクシードライバーか?

 彼女は、デニーロが好きではない。 映画好きなのに意外ちゃ意外だ。 名作を見続けていると、デニーロに必ずぶつかることになる。 そんな彼女が 「ディア・ハンター」 が観たいといってきた。 ちょっと面食らった。 当然、デニーロが出ておるし、彼女が好きな内容ではない。 基本、ハッピーエンドが好き!! 

 理由を聞いてみると、「薬師丸ひろ子が出ておった番組で、共演した高倉健が好きな映画として、ディア・ハンターを挙げていて、興味を持った」 と言っていた。 なるほど、健さんの好きな映画で、ディア・ハンターを挙げていたな。 ぶきっちょの健さん、見かけによらず洋画好き。 当時のインタビューで、「この役者、この時代でなければ撮る事が出来なかった作品」 と確か評していた。 的を得ている。 

 まぁ、簡単にディア・ハンターの内容を説明した。 デニーロが出ておるくらいだから、強烈であるとも付け加える。 彼女いわく、「デニーロは、目が笑っていない」 と言っておった。 これ又、的を得ている。 
 そんな訳で、彼女とディア・ハンターを鑑賞した。 二人で観る映画ではないなぁ! この映画、3つの重要なブロックで別れておる。 結婚式、シカ狩り、そして、ベトナム。 前半の結婚式のシーンに1時間以上割かれている。 後々このシーンが生きて来ることになるのだが。 

 簡単な個人的な解説として、メリル・ストリープが神が掛かり的に綺麗であるということと、クリストファー・ウォーケンが王子様のようにカッコイイこと、フレドのジョン・カザールの遺作であるということだ。 

 そんなこんなを説明し、見終わり、彼女が 「男の友情と、女の友情は違うんだね」 とボソッと言った。 ちょっと、俺面食らった。 今まで、そんな目で、ディア・ハンターを見たことがなった。 そうか、ある意味で、男の熱い友情のドラマだな。 それ以上に強烈な内容だったから、それを見落としておった。 
 いつ見ても、ラストに出てくるキャラクターの楽しそうな笑顔が涙を誘う。 マイケル・チミノ、永遠なれ。