祟りじゃ〜〜

 時々、観たくなる、怖いもん観たさの映画がある。 まずは、エクソシスト これは、戒めるという意味もあり、観たくなる。 牧師をどうにか、贖罪の念に取り付かせようと、必死に悪魔が語りかける。 悪夢のシーンが、他愛無いのに怖い! 年代が同じだが、オーメンだな。 あのバロック音楽をもじった様な曲も怖い! サスペリア2も怖いな。 ありゃ、サスペリアと全然関係がない、猟奇殺人の話しなんだけれど、熱湯に顔をつけて殺したり、トラックに顔を踏まれたりとチープだけど残虐だ。 

 そして、そのホラー映画の代表として挙がられるのが、日本の八つ墓村だと思っている! 俺らの年代の連中は、みんなトラウマになったんじゃなの? 祟りじゃ〜〜!は、ドリフに使われた定番のセリフだ。 

 このトラウマオンパレードの映画が、松竹で作られたというのも、面白いな。 どっちかっていうと、ホームドラマ専門っちゅーテリトリーじゃない? この手のグロは、東映か? でも、東映の映画って、荒いよな、ヤクザ映画が基本にあるからか? 緻密なグロさは出せない。 それを考えると、松竹か。 

 この映画、当時、製作にあたり、冒険を色々している。 なんといっても、金田一渥美清を充てている。 寅さんである、殺人事件解決できるのか? 観るたんび、「おいちゃんも聞いとくれ、おばちゃんも聞いとくれ、この殺人はね」 と講釈を始めるじゃないかと思ってしゃーない。 
 それでも、何度なく観ていると、「これだけ、人が殺されちゃう事件じゃ、石坂浩二じゃ駄目だな」 っと、思うようになってくる。 

 映画化にあたり、ストーリーを若干変えている。 この変えたストーリーが不自然なく、収まっちゃているから、オリジナルを観ると、物足りなくなるんだなぁ、困ったもんだ。 
 
 一つの映画にトラウマシーンが三つも入っているんだ。 みんな、どれかにトラウマを持っているんじゃないか? 一つ目が尼子一族の落ち武者を祭りの最中に騙し討ちにするんだ。 これが、日本映画のホラーの金字塔である。 SFXなんちゅー言葉もないし、特殊メイクが関の山である。 種は判るんだけれど、判っていても、怖いし、痛そうなんだ。 そして、尼子義孝が、死に際に立ち上がり、喉に刺さった竹やりを抜き(痛そう!)村人にのろいの言葉を吐く! 「末代まで、祟って、祟ってやる」 演じているのが夏八木勲なんだけれど、デーモンみたいなメイクなんだけれど、まぁ怖いんだ。 晒された首の目が、カッと開くんですな! 

 二つ目が、多治見要蔵の32人殺しである。 あの頭に懐中電灯を二つ点け、片手に日本刀、片手に猟銃を持って、村人を殺しまくるのだ。 回想シーンのオープニング、スローモーションで、要蔵演じる山崎努が、褌をひらひらさせながら、桜舞う中を走ってくるのだ!! これがまぁ、怖い怖い。 芥川也寸志の音楽が合っているんだ。 音楽とあの画はワンセットだ。 近場のものは、刀で斬り、手が届かんもんは、猟銃で撃つんさ。 赤子、婆さん容赦なし!! 

 三つ目が、鍾乳洞の中で、森美也子演じる小川眞由美が、犯人だと、ショーケンが気づくんだな。 そーすっと、魑魅魍魎になんちゃうんだよ。 普通の探偵もんの概念を越えちゃっているからな、このシーンは、今回観ても、ぞぞぞっとした! 真っ暗い鍾乳洞を追っかけて来るんだぞ!! おっかねぇったらありゃしない! 

 あと、定番となる加藤嘉の口から泡を吐いての死にっぷりが素晴らしい。 これ以降、嘉さんといえば、泡を吹いて死ぬというイメージ固定してしまった。 双子のばあさんの小竹を演じた市原悦子が、良い。 多治見家の裏を仕切って、100年って感じがしてよろし。 

 これをだな、寝る前のゴールデン洋画劇場なんかで、見て、寝てみ、子供は、便所に行けないって! 八つ墓村は、あの子供の頃に感じた、怖さはほんもんだったかどうかを確かめるために観るんだな、今回観ても、やっぱ怖いのであった。 

 もぉー38年前の作品になるのか、小学生じゃトラウマになるな。