カオス

 カオス。 ここ数年、対談や、コメントにおいて、時折顔を出す言葉だ。 漠然とだが、カオスの意味は、知っておったが、理解が出来ておらんかった。 判り易い比喩として出されるのが、バタフライ効果ね。 1匹の蛾が羽ばたくと、遠く離れた場所で、竜巻が起るっちゅーあれね。 それが、あったときと、なかったときで、状況は、大きく変化するっちゅーヤツ。 

 この意味をはっきりと、理解したのは、イスラム国の形成に至る過程。 俺は思わず 「これが、カオスか」 と、呟いた。 

 まず、イスラム指導者が組織したアルカイダが出来上がり、アメリカにテロを起こし、イラクから、アフガニスタンへと拠点を移し、指導者、戦う場を追われた彼らは、内戦が勃発したシリアに移り、混沌とした情勢から、イスラム国を形成した。 集団は、常に目標や、力点を持っておらんと、闇雲に動くようになる。 ルール無用の集団だとしか、俺には思えない。 結果として、そこにみんな、終着したのかな。 これは、カオスだよな。 

 その結果、日本人を拉致し、脅迫、身代金要求となる。 ジャーナリストの後藤健二さんが、「これは、自己責任による行動で」 と言っていることが賛否両論を起こしている。 確かにそんな危険な場所に行くほうが悪いという考え方もある。 俺は、9.11が発生した時、NYに居ったジャーナリストが全員、貿易センタービルに向かったと聞いた。 それは、やつらの本能であり、伝えなければならないという使命感だと思う。 金のためじゃないか! という声もあるだろう。 だが、命がけであるということには変わりない。 

 これまで、数々の独裁政権で、外界との遮断により、蓋を開けてみたら、悲惨な状況だったということが沢山あった。 ネット社会がもたらした良いことは、世界の反対側で起きた事が、瞬時に世界を駆け巡ることが可能になったということだ。 誰かがやらなければならないことをおこなっている連中に対して、「自己責任だから」 という言葉だけで、終わらせることは出来んだろ? 

 パスポートにさ、「日本国民である本旅券の所持者を通路故障なく旅行させ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」 と書かれている。 だとしたら、国は、国民を守らなければいけないと思う。