八王子、町田

 ここ数年、映画の金の掛け方では負けているけれど、内容では、洋画に負けなくなっているように思う。 ひねりが効いておったり、伏線の張り方が上手くなった。 ダイ・ハードとか観て、育った連中や、ネットとかで、散々言われる 「これを観ずに死ねるか!」 といった映画を簡単にチョイス出来、観てきた連中が、本を書くようになったり、映画を撮るようになったからなのかもしれない。 ゴールデン・スランバー アヒルと鴨のコインロッカー カラスの親指 容疑者Xの献身 アフター・スクール ここら辺は、面白いなぁっと思いながら観た。 

 日本テレビでやっておった 傷だらけの天使探偵物語、大追跡、プロハンター路線っていうのかな、俺たちが一番影響を受けた情熱と、若さだけで作り上げたような作品群も、新たな解釈で、血肉を与えられているような気がする。 優作、ブルース・リー、マックイーンを知らずに伝説のみで、解釈しているっていうのかな? そこで、新しい人物像が出来上がったりしている気がする。 「そーじゃねぇーよ」 なんって言う、野暮なことはやめよう! 解釈なんちゅーのは、人それぞれさ。 

 今回観たのは、新旧のその手の連中から、支持を受けたんではないか? と思われる まほろ駅前多田便利軒

 これも、今更だな。 色々噂は、聞いておったが、なかなか観よう! と思う勢いがなかった。 印象としては、アクションでも、虚脱系でもないドラマなんじゃないか? と、思っていた。 やっぱ、そのとおりで、安全圏におる 傷だらけの天使 みたいだった。 まぁ、それはそれで良いんだけれど。 そっち系だったら、主役をやっていた瑛太 か、松田龍平のどっちかが、ラストで、死んでいたな。

 東京の郊外、都会でも田舎でもない、まほろってなんだよ? って、思っていたら、まほろ市、まぼろし(幻)から来ている。 なるほど! っと、思った。 俺のイメージは、皆さんと同じ、八王子か、町田ってとこじゃないか。 埼玉ほど、野暮ったくなく、神奈川ほど、洗練されていない。 すまん、埼玉、八王子、町田。

 原作ありきで、映画が作られておるから、原作がどんなイメージなのかが分からんので、映画のイメージで、書く。 日テレの東映アクション系を新たな解釈で、作ってみましたって感じだな。 勢い余ったら、撮影場所は、横浜になりかねなかった! 横浜だったら、ちょっと違うだろうなぁ。 
 基本、みんな100%悪人なりきれん連中が出てくる。 強いていれば、刑事役の一徳兄ちゃんかな。 多田演じる瑛太に向かって 「お前のようなヤツは、嫌いだ」 と、のたまうが、あれは、嫌い嫌いも、好きのうちにだな。 しかし、一徳兄ちゃんには、病んだ悪役が、よく似合う!! 

 この映画、キャストが良かった。 ブラジル系を売りにした娼婦に片岡礼子鈴木杏。 片岡礼子に関しちゃ、はじめ誰だか分からない位に良い化けっぷりだった。 個人的には、鈴木杏には、もっと、活躍してもらいたい。 弱いやつに強い売人の松尾スズキ。 切れると危ない使いっぱに柄本佑! 柄本長男良いよなぁ、久々にバイプレイヤーを任せる事が出来る素晴らしい役者だよ! 

 瑛太松田龍平両名が、歩き方まで、プロットしていたところは、好感を得た。 龍平のやりすぎの虚脱系の歩き方には、ちょっと苦笑いだけれど。 

 そして、車のフロントガラスを叩き壊され 瑛太 「なんじゃ〜こりゃ〜!!」 龍平 「何それ? 誰のマネ、似てないよ」