初夢?

 年が明けるっちゅーてもだ、毎日、変わらん一日の一つでしかないのにあたかも大切な日であるように感じ取ってしまう。 行事もんなんぞ、関係ないと思われとる若もんも、渋谷のスクランブル交差点を行き来したがるんだな。 独身が長くなるとだな、あんま、正月といわず、クリスマスといわず、行事もんに興味がなくなったりする。 
 それでも、初夢なんぞ見ると、ちょっと、縁起を担いだりするから困ったもんだ。 夢つながりかどうかは、分からんが久々に うる星やつら2 ビューティフルドリーマー を観た。 正月早々に観た。 

 80年代、俺は、酒飲んで、ROCKばっか聴いておった。 テレビも、あんま観ておらんから、当時の番組も何気に題名だけ知っておって、馴染みが薄いもんが多い。 うる星やつらも、観ておらんかった。 押井守も、名前だけ聞いておった。 やっけにオタク連中の中で、騒がれておるなという程度。 あるとき、気が向いて、うる星やつら2 ビューティフルドリーマーを観たんだ。 気まぐれでしかない、金もなく、やることもないから、テレビでやっておったもんを観たんだなぁ。 いやぁ、ビックリした。 

 オープニング、不可解な廃墟と化した街並みから始まる。 このまんま、クールな方向に行っちまうのか? と、思ったら、学際前夜になる。 ドタバタを何気にな〜く、見ておると、どっか変! どっか変だけれど、どーいう風に変か分からんのだ。 そのうち、それがタイムループだっちゅーことに気がつく。 押井守のすげぇーところは、俺たちがやっと、数年後に使うようになる言葉を既に入れていることだな。 ビューティフルドリーマーを観たあとに、ヤバイ、とりあえず、追っかけないとヤバイと思い、映画版のパトレイバーに向かった。 そこでも、既にコンピューターウイルス、OSなる言葉が行き交っておった。 新しい刺激にぶち当たると、人は、「なんだこれは?」 と、単純な興味を持つ。 クリエイターとしては、強烈な存在だと思う。 だが、先駆者も、どっかで、遅れて来るんだよなぁ、最近の押井は、遅れてきている。 そろそろ、誰かが抜かさないと、駄目なんだけれどな。 押井の駄目なとこは、趣味に走ると、全然面白くないもんを作るっちゅーこと、どこか、妥協点を作ってやらないと、面白いもんが作れない。 ここら辺は、ジョン・カーペンターと似ている。 カーペンターは、もう一つ、金を与えてはいけない。 
 話が反れたな、そのタイムループに登場人物が気づくと、そっからは、推理になってくる。 この異世界の持ち主は誰か? と、なり、再び、ドタバタが始まる。 

 俺は、相変わらず、うる星やつらは、好きじゃない。 なんだろう、ラムちゃ〜んが、好みじゃないんだな。 ありがたいことに世に出ておる、永遠の処女的なキャラには、まるっきり、興味がない。 未来少年コナンのラナ然り、カリオストロの城クラリス然り。 なんだろう、色気を感じないからかな。 2次元だからとか、そーいう意味じゃなくって、優等生な子には、色気を感じないのだろう。 
 だから、逆に冷静にこの作品を観る事が出来たんだろうなぁ、優れた作品として。 

 以前はさ、こんな、夢の中だけの世界なんぞ、存在しないと思っていたけれど、おふくろが意識混迷から目覚め、意識はあるのにこの世界におらんという現実を目の当たりにしてから、この夢の世界は存在すると思っている。 但し、定石のようにその世界の住人しか、その世界の存在を知らんし、住むことも出来んということだ。 端から見ると、病人だったとしても。