タコ社長

 最近、俺の勤めとる会社は、突然傾くんじゃないか? と、思うようになった。 別段、業績が悪いとか、そーいうことではなく、トラブルが起きた時の対処の仕方を見ておるとな、「危ないんじゃね? この会社」 っと、思う訳だ。 
 うちの会社、ある意味で、サービス業であるせいか、小さいの大きいの織り交ぜで、結構、トラブルが多い。 そのたんび、何やるな、それやるなと、メールがやってくる。 対処の仕方の傾向として、起きたトラブルの元になる根幹バルブを閉めて、一切漏れないようにするというアホな方法をとりたがる。 原因と追求を形だけは、やっておるが、それがまるっきり生かされておらん。 分からんでもないが、それをやるとな、なぜ、それが起きたか? という大切な部分が抜ける。 本社会議に俺が出ることはないけれど、噂に聞いた限りでは、上に乗っかっている連中が一方的に話し、ハイ、終了ってことらしい。 

 まぁ、ここら辺はいいとして、今回、トラブルが客からの投書によって発覚という最悪なパターンで起きた。 この時点で、問題の解決に当たるはずなのだがぁ、中間におる管理者が上司に報告せず、自社業務を優先させるというこれ叉、アホなことをした。 自社業務というのが、会議である。 普通はさ、会議なんぞ出ずに問題の終息のために動くだろ? それが、動かんのだなぁ、そして、遅ればせながら部長に報告したら、部長が言ったことが、「なぜ、俺のところに○×は、謝りに来ないんだ?」 だったらしい。 アホな部長に迷惑をかけたわけでも、うちの社員にでもない訳で、契約先が迷惑を受けたのだからさ。 理解に苦しむ。

 俺が昔居った職場は、社長と、俺と、事務員の子しか居らんような小さいなとこだった。 当然、問題が起こると、俺が社長に報告する訳だ。 俺はまだ、二十代の小僧だったから、起きたことを説明するんで精一杯な訳、説明終わって、社長が一言 「それで、お前どうするんだ?」 と、聞かれる。 つまり、この問題をどういう風に解決させるんだ? このセリフを聞くと、ドキッとしたもんだ。 今だったら、途中経過を報告するか、結果を報告するだろうが、ガキだったからな、そんなとこまで、出来んかった。 
 そんなことを思い出して、うちの会社、危なねぇんじゃないか? っと、思った訳さ。 その社長が、いつも言っておったのが 「金の工面に大変で、俺は、タコ社長みてぇーだ」 だった。 いやいや、そんなこたぁありませんよ、俺が見た中で、社長が一番です。