ちょっとくだらない読書感想文

 俺は、あまり読むのが早くはない。 だから、読む本を選別している。 結果、文学、ミステリーの類は、読まんことにしておった。 嫌いじゃないし、むしろ、好きだが、自分自身が得る知識の量を考えると、そっちに現を抜かすとだな、読書量が、めっきり減るのだ。 だから、そっち方面は捨てることにした。 それでも、読みたいと思わせる作家がおる。 スティーブン・キングは、現代の優れた作家の一人だと思っているし、ホラーというカテゴリーに収まる作家ではないと思っている。 そして、ジョン・アーヴィングである。 アーヴィングは、俺が一番衝撃を受けた作家である。 取っ掛かりは、「ガーブの世界」 だ。 もちろん、映画から入った。 映画を観て、衝撃を受け、速攻で、原作本を手に取り、更に衝撃を受けた。 理屈ではなく 「あぁ、これが現代文学ってヤツなんだな」 と思った訳だ。 

 それまでは、ミステリーや、同じように映画を観て、その原作を手に取るという読み方をしておったのだ。 読書をするってことだけで、精一杯の時期だな、というか、読み始めの時期と言ったほうがいい。 それまでは、本なんぞ、読んだことがなく、他愛無い暇つぶしから始まった。 当然、文学とか、小難しい本を読むには、力が付いておらず、読みやすい本をチョイスせざるを得ない頃だ。 そして、ある程度、力がつき、「あぁ、これが文学っていうのね」 と分かる程度には、なったということだ。 

 とにかく、「ガーブの世界」 は、ぶっ飛んでいた。 戦地から帰って来た瀕死の重傷を負っておった兵士が、見事なまでに勃起しておったのを見て、それに跨って、生まれたのがガーブなのだ。 そんなガーブだから、人生もぶっ飛んでいる。 映画は、ガーブの死によって幕が引かれるが、原作本は、家族のその後まで描かれておる。 その中のお気に入りの元フットボールの花形スターのオカマの最期は、気分が悪いといい、ゆりかごに揺られ、眠るように亡くなるのだ。 映画で、ジョン・リスゴーが演じておって、最期まで、俺の中ではリスゴーで、描かれた。 ちなみにガーブは、映画デビューのロビン・ウイリアムズ
 俺が一番、感銘を受けたのは、アーヴィングが作り上げた世界観なのだろう。 まるで、ガーブの家族をその場で、見ているような気になる。 

 最期に読んだアーヴィング作品は、「ホテル・ニューハンプシャー」 だったと思う。 これも、映画を観てから、本を読んだんだよなぁ。 原作本を読む場合、原作本を先に読んじゃー駄目だ。 原作を先に読むとだな、登場人物に好きな配役を当て嵌めてしまうんだ。 そして、シーン、シーンの映像も頭の中で、こさえてしまう。 結果、必ず、映画には失望するんだ。 だって、頭の映像って、予算に関係なく、いっくらでも作れるし、ギャラが高くて、引っ張ってこれない役者も持ってこれるし、全盛期の恰好で出てくるんだからさ、そりゃ、勝てないでしょ。 
 
 今回、読んだ 「未亡人の一年」 も、映画化された。 但し、原作本の前半部のみという不思議な映画化のされ方をした。 そして、題名は 「ドア・オン・ザ・フロア」 映画は、映画で、それなりに完結しておったんだけれど、その先が見てみたいと思うだろ? 映画を観たときには、既に原作本は、手に入れづらくなっていた。 アーヴィングの本は、大概、上下巻本なんだ。 だから、上巻だけとか、下巻だけとかっていう手に入れ方をしてもしようがないんだ。 世の中には、よー分からんが、上巻だけ、下巻だけという手に入れ方をするヤツがおるんだなぁ、読むんだったら、最初っからさぁ両方手に入れないか? 面白くなかったら止めようとか上巻だけ手に入れたり、ラストだけ知りたいから下巻本を手に入れるのか? 本屋に行って、片っぽだけ残っているのは、理解に苦しむ。 潔く、ぽーんと買えよ! 

 そんなこたぁどーでもいいな。 読みたいと思っても、既に廃刊になっており、手に入れる方法は、ブックオフか、高値で買うか、復刊を待つかの選択肢になる。 今回は、ブックオフで、上下巻そろってあったんさ! 速攻買ったよ。 久しぶりに嬉しかった。 そして、久々に文学を読める喜びかな。 新刊で出ている本の大半は、文学と名を売っておってもクソだクソ! そーだなぁ、文学に触れるとどーなるか? っちゅーと、魂が洗われるような感覚を味わう。 そして、頭の中に文字が際限なく出てくるんだ。 今回も、至福の時を味わせてもらいました。 読み終わるのが、もったいなくって、後半ちょっとスピードを落したよ。 ちょっとくだらない読書感想文だ。  

 BGMにボンジョビを聴いておるんだが、椿鬼奴が出てきて困る。