大人の遠足 その2

 Hは、面白いんじゃねという乗りで、良い返事だったが、友人Kは、ちょっと良い感じを受けんかった。 そして悪友Kにメールで連絡すると、「よーし、どっからでもかかってこーい」 という感じだった。 東京の追加を待つということには、なっておったけれど、期待はしておらんかった。 

 プランナーとして、決断を迫られる。 基本、俺は、面倒くさいことは一切合財嫌いな人なのだ。 一人でGOしちゃう場合、俺のリズムで全てが処理され、変更され、実行される。 大阪梅雨の陣を決行、動き出すと、友人Kが仕事の関係で、断念することになった。 ライヴを観るということも念頭にあったけれど、俺の中では、泊りがけの遠足というニュアンスが高かった。 歳を食うと、自由が利く面と、利かん面がある。 一番は時間である。 俺のように地位も、名誉もなーんもないから、ある程度までは、時間の融通が効く。 仕事で、地位と、責任を担ってしまうと、休んでおっても緊急事態には、連絡がやってくる、不在は許されん場合もある。 ここで、携帯の出番だ。 こいつが 「事件は、どんな場所でも起きる」 にしちまっている。 アメリカ辺りだったら、休日に電話が来るなんちゅーのは、よっぽどの緊急事態だろう。 「どこぞの国が、武力侵攻しまちた」 と連絡が来る、大統領並の緊急事態がない限りは、来んだろ。 インターコンチネタルホテルに勤めておるもんが言っておったが、外資のホテルは、支配人であっても、絶対にサマーホリデー、クリスマスホリデーは、しっかり取るのだ、休暇中は、一切、連絡をしちゃなんねぇらしい。

 我らが中小企業は、そーいう訳にはいかん。 どこで、何をしておっても連絡がやってくる。 グローバルスタンダードなんて、金が欲しい連中が、四六時中、金を手に入れたいから勝手にやり始めたことさ。 そんなわけで、大阪梅雨の陣は、作戦が進行していった。 
 まず、チケット押さえからはじまる。 さすがにさぁ、大阪で、当日券は、リスキーすぎるだろ? キャパ10000人である。 スタンドでも、どこでもOKだった。 メールで、「チケット押さえたよ、アリーナ」 この最後のアリーナがエコーして聞こえたね アリ〜ナ リィナ リィナ・・・。 断言しよう、俺が押さえておったら、間違いなく2階スタンドだった。 延期され、この期に及んで、アリーナが取れる! ちょっと不安。 チケット余ってんじゃね? とも、とれるのである。 当日、大阪体育館の前に紙切れ一枚 「ヴァンヘイレン大阪公演は、アーティストの都合で、中止になりました」 と、言い渡されたりなんかしたりして! 
 
 まぁ、いいそこら辺の事は、中止になってから考えればよいことである。 まず、足の確保である。 鈍行で行くというのは、はじめっからなかったが、夜行バスという選択はあった。 行きを新幹線で行き、帰りを当日、若しくは、翌日の地獄の夜行バスで帰ってくるというパターン。 二つ目は、ユニバーサルスタジオのツアーに乗っかり、ライヴ観ぃのユニバ行くーのというパターン。 三つ目は、レンタカーでGO! 快適な環境じゃない場所で6時間押し込められると、かな〜り、キツイ。 
 ネット社会になって、検索で、最安値が分かるようになっちまった。 パパッと出すと、日本旅行で、パックツアーで、新幹線往復+宿泊というのがある。 6月24日の月曜日、梅雨真っ只中の月曜日である。 如何せん、格安チケットであるから、範囲が決っておる。 新幹線月曜日のチケットは、早朝から、9時位までが高値なんだろう。 一番のお得意さん、サラリーマンの出張チケットと化している。 その時間帯を避けた10時位からのセルである。 エコノミーパックだと、時間範囲が狭いので、らくらくパックにして、のぞみは高いので、却下。 それでも到着時間は、数10分しか違わない。 ので、ひかりにした。 品川、新大阪間を3時間ほどで行ってしまう。 この手のことに疎いので、俺が修学旅行に行ったとき、京都へどれ位で着いたかを憶えておらんから、微妙である。 25500円で、押さえることが出来るようだ。 
 
 と、ここで、悪友Kから 「悪いがオレは・・・ツアーから外してくれ! 最悪、現地合流になるかもしれない」 とメール。 これも、予想の範疇ではあった。 Kは、レンタカーぶっ飛ばしてくるんではないか! と、思っている。