三島由紀夫

 「人斬り」 を見てから、妙に三島由紀夫が気になって気になってしゃーなかった。 あの瞬きしない目、そして、マジという名の殺陣。 あの本気ぶりが、気になって気になってしゃーなかったのだろう。 先に断っておくが、今の今まで、三島のことは、あまり好きではなく、迂回しておったのだ。 なんつぅのかなぁ、危険な匂い、プンプンの人なのだ。 内田裕也や、安岡力也のような、アウトサイダーな危険さではなく、もっと、奥底から黒びかっているようなもんなのかなぁ、おらが街のヤンキー共を興奮させるようなもんではなく、理知的な連中を興奮させるようなもんという感じだ。 同じ土俵に乗せたくはないけれど、オウムに似ているのかもしれない。 

 以前、三島原作、市川雷蔵主演の 「剣」 という映画を観た。 あらぬ疑いを受けた剣道家が身の潔白を証明するために死を選ぶという話しなのだが、汚れるなら死を選ぶという思想なのだ。 その考えが、偏ってはいるのだが、なんていうのか、純粋なんだ。 純粋ゆえに死を選択する。 凡人には、ある意味で、狂気であると思う。 

 もし、あの時代ではなく、今の時代に三島が、割腹自殺をしたら、あの時代ほど、影響力も与えなかったであろうし、知る人ぞ知るという存在に埋もれていたと思える。 人を変えようと思うヤツは、沢山いる。 社会を変えようとするヤツ、時代の寵児になろうとするヤツ。 三島は、国を変えようとしたんだろう。 その代償として、叉、証明として、自分自身の命を差し出したのかもしれない。 

 こーいう言い方は、危険かもしれないけれど、日本に三島が居って良かったと思う。 日本の思想家として、三島は重要な位置を占めていると思う。 でも、危険な人であることに変わりはない。 しかし、同じ由紀夫でも、鳩山とは、大きく違うな。