最後の練習

 昨日が、四国に出発するまでの最後の休みであった。 ここで、20キロ以上歩いておかんと、ちょっと不安。 しかし、歩くっちゅーのは、思っている以上にだるい。 走る方が、俺としては楽だ。 1月前の練習し始めのころ、10キロがやっとであった。 自分自身でもビックリした。 高が10キロであっても、2時間弱かかるのだ。 走っておれば、20キロくらいかな? やり始め、早く終わらせようと、一生懸命歩く、結果、5キロすぎた辺りで、足が重くなり、疲れてくる。 走るのと、歩きの違いは、走る方は疲れ切っちまうと、どうにも修正がきかないこと。 歩きは、ちょっと休憩すると、復調する。 肉刺ができるくらいだったら、まだ歩ける。 ハードがやられなければ、どーにかなる。 
 途中から、1時間歩いたら、休憩を入れることにした。 そして、昨日は、川崎に向かい、駅前にある登山グッズの専門店で、四国に持ってゆくリュックを購入する予定。 いやぁ、結果、ぎりぎりの購入になってしまった。 

 ルートは、単純に第一京浜をずどーーんと、真っ直ぐに進み、多摩川を渡って、川崎に向かうという算段。 いつも、第二京浜しか使わないから、なかなか新鮮。 京急が、沿うように走っておるから、第二京浜よりも栄えておる。 でも、ちょっと下品。 

 歩き始め、雨がちょこっと降っておった。 ウインドブレイカーを着込んでおったから、気兼ねせずに歩く。 土砂降りだったら、レインウエアの着込んで闊歩することも考えておったが、それほどのもんじゃなかったから、デイバッグの中に傘を仕込んで、それでしのぐことにした。 降ったり、止んだりを繰り返し、道中、ウインドブレイカーを着込んだり、脱いだりしておった。 駅が近くなると、傍若無人なチャンコが現れる。 GWだっちゅーのに車も出ておったしな。 環七、環八と大通りを挟んでおるからな。 BGMは、AC/DC!! 

 多摩川まで、1時間半くらいだったかな。 川崎駅について、2時間弱ってとこか。 時間は、12時半。 川崎に着いたら、飯を食おう。 川を渡った周辺って、如何わしいエリアなのね。 ホテルがあったり、ピンサロがあったり、レゲエの方々が居ったり。 川や、海の近くっちゅーのは、そこそこさえるから、如何わしいエリアが多い。 海外だったら、ちょっと危ないエリアも多いんだよね。 水って、人を吸い寄せるんだろうなぁ。 

 吉牛に入ろうと思ったら、込んでいた。 天丼は食いたくないし、ケンタはくどすぎる、マックあたりにするかと、マックを探す。 禁煙エリアに席を見つけ座る。 さすが休日、ガキばっか! 俺の斜め前の席にちょっと太ったガキ大将っぽいヤツが座っておって、同じ年か、チョイしたくらいのヤツがそいつを見つけると、挨拶しておった。 相変わらずそーいう文化は残っているんだな。 120%ガキんちょと、かあちゃん連中に挟まれながら、手早く食事を済ませ、目的のグッズ専門店に向かった。 
 
 予算は、15000円位までで押さえようと思っておった。 30Lは持っていたんだけれど、引越の時に捨てた。 まぁ、20年くらい前の型だから、今持つと恥ずかしい。 登山用品は高いよな。 金があったら、欲しいもんはたくさんあるけれど、手が出ない。 今回、買わなければならんもんだけ、買った。 シューズ、レインウエア、トレッキングパンツにリュックだ。
 店内に入り、物色する。 予算があったら、グレゴリーが欲しかったんだけれど、高いから却下。 手が出る範囲としては、ノースフェイスかなぁ。 使い易いかどうかということもあるが、背負い心地が良いかどうかも大事なんだ。 如何せん、長時間背負って、動くことになるからな。 
 割引エリアの中にノースフェイスがあった。 32Lだ。 これいいかなぁっと、思い背負ってみる。 ふと見ると、Mと書いておる。 もう一つ見ると、Sと書いてある。 これは、もしかして、リュックのサイズ? 買うことは決めておったから、商品をチョイスしたら、店員さんの意見を聞く。 「すいません、ちょっといいですか?」 小柄な女性の店員さんに声をかける。 小柄だけど、山登ってますという体つきをしておる。 「このSとか、Mって、サイズの事ですか?」 「そうです、背負った時の背中にあたる範囲と、ショルダーの位置が違います」 なるほど、リュックもサイズがあったのね。 「試してみますか?」 「はい」 といって、Sから背負ってみる。 ショルダー、腰ベルトを身体に合わせて調整してゆく。 「背中にあたる部分は、ジャストですね、ショルダーの位置が肩口に筋肉がついているから、引っ張られて、留め具が上に上がってしまっています」 おぉ確かにぎりぎりの位置になっている。 その後、Mを背負ってみると、違いが如実に分かる。 ジャストサイズとしては、Sのようだ。 
 もう一つ、背中の部分にメッシュが付いており、背中に直接リュックが当たらんようになっておるタイプがあった。 「これって、違いますか?」 「長時間背負っていると、熱の抜け加減が全然違いますね」 それを補強するためにバーが付いているので、若干重く、その分、広がりがない。 さて、どっちにするか? こーいうもんを買うとき、俺はいい加減にパパンと買う。 失敗する可能性の方が大きい。 俺が天からの贈り物を手入れるのは、大概、特価品の中から見つけることが多い。 今回は、どーなるか? 背に直接当たらん方を買うことにした。 deuterというドイツのメーカーだ。 時々街中で見かけることがあるメーカー。 
 普段、俺が背負っておるデイバッグは、申し訳ない程度のショルダーだ。 30Lを越えるやつを背負うと、身体にフィットすることが分かる。 2割引きで、10500円で購入。 早速、背負ってきたデイバッグを入れ、そのまんま背負って、川崎を折り返す。 突然、街中に気合の入ったリュックを背負ったおっさんが出現した。 

 ここから、再び、自宅に向け、来た道のりを帰ってゆく。 靴の中に若干違和感がある。 靴のジャストフィット感がないから、マラソン用のソールに入れ替えてみた。 踵の部分に折り返しがあり、こいつがもしかしたら、当たって肉刺ができるかもしれないなぁとは、思っていたが、やはり、出来たようだ。 厚めのソックスを履いておったから大丈夫かなぁと思ったんだけれどな。 これで、このソールを使っちゃならねぇってことが分かった。 5時間歩いたが、ダメージは、やっぱ、マラソンの方が大きい。 歩くに関しては、疲れて、へたれこむという事はない。 当然ちゃ当然だ。 でも、歩くという行為は極端にラップタイムを上げることが出来んから、その行程をどれくらいの時間が掛かるかは、想像がつく。 10キロを1時間50分から、55分でクリアしてゆくだろう。 ゆっくり目で、2時間かなぁ。 20キロ前後歩くとしたら、実質4時間ほどだと思っている。 後は、寺に入って、拝んだり、お賽銭入れたりする時間が加算されるって感じかな。 あと、道に迷うというアクシデントが一番痛いな。 現地は、矢印が付いているらしいし、そっち方面に同じ格好の人が流れてゆくであろうからな。 あと、宿探しだな。 数が少ないエリアは、予約を入れようと思っている。 この手のことで、もしもを考え始めると限がないのだ。 どっかで割り切り、どうにかなるではなく、どうにかするつもりで行くべきだ。 具体的にプロットが出来てくると、あれが足りない、これが足りないと始まる。 まぁ、海外じゃないから、どうにでもなるとは、思っている。 

 この土壇場で、うーんと思った出来事は、寝袋がやっと見つかったのはいいが、思っていた以上に大きかった。 これじゃーリュックに入らんよ。 さて、どうするか?