12月2日

 今日は、雅美の命日だった。 ヤツは、永遠の27歳になっちまった。 俺はっちゅーと、46歳、思いっきりおっさんのどストレートである。 ヤツが死んだ日は、すげぇ寒い日だった。 早朝、キュルキュルキュル、キュルキュルキュル、おふくろが留守番電話を聞きなおしているのが聞こえて目が覚めた。 そして、誰かと喋っている声が聞こえて間もなく 「雅美が飛び降りたらしいよ!」 と、部屋に駆け込んできた。 俺は、瞬時に目が覚め、着替え始めていた。 飛び降りたと聞いた瞬間、どこで飛び降りたかは、すぐに想像がついた。 病院の場所を聞き、一刻も早く、雅美のところに行きたくて、バイクに跨った。 おふくろが見送るときに言った言葉が 「事故らないようにするんだよ」 だった。 おふくろにあとから聞いたら 「あんたまで、事故ったら、どーしよもないだろ」 だった。  

 確かにバイクを運転しながら、涙が出てきて、シールドがぼやけて見えんかった。 そう、霙のような、雨が降っておったんだ。 あれから、命日がやってくるけれどさ、あの日ほどに寒い日は、ないぞ。 そして、おふくろが、ガン宣告された日でもある。 忘れられん日になったな。 俺も、頑張んねぇとな、あの日、何が起きて、どう思ったかを知っておるのは、俺だけになっちまった。