Mama, Do you remember...

 間もなく、優作没後25年になるのかな。 早いなぁ。 友人から、優作のDVDボックスコレクションを借りた。 角川作品のチョイスだ。 「蘇える金狼」 「野獣死すべし」 「探偵物語」 そして、「人間の証明」  優作は、創世記のアクション系、個性派になり、演技派になり、名を残す俳優になった。 俺の中では、やはり、アクションの頃の優作が、一番輝いており印象深く、思い入れが深い。 まずは、「太陽にほえろ!」 のジーパンで、俺たち小学生の心を掴んだよな。 リアルタイムにあのカッコよさを体現できたことは、嬉しい。 今の子達は、なーんだか、ニセもんの役者ばっかで、可哀想だ。 そして、「俺たちの勲章」 「大都会part2」 そして、「探偵物語」 に行き着き、俺たちの多感な頃の象徴だ。 不思議と、優作のシーンだけ、古さを感じないんだよね、あの優作の着こなしが、時代を超越しているんだろうな、あんな、マンガみたい着こなし、優作しか出来んて。 

 丁度、アクションからの脱却を目論みつつあったのが 「人間の証明」 だったんじゃないのかなぁ。 でも、トレンチ着てサングラスで、いつもの優作だった。 誰が配役したか知らないけれど、ジョニー・ヘイワード役にジョー山中、金持ちのバカ息子にガチャピンを跳ね除けて宇宙に行こうっていう岩城滉一ジョー山中は、いいとしても、岩城滉一は、全然金持ちのボンボンに見えないんだよ、ありゃ下町のヤンキーだろ。 

 この映画、監督が佐藤純彌で、センスがあんまない人なんだけれど、リアリティーは追求するんだろうねぇ。 作品を見ると分かる まず、イラクロケが有名な 実写版「ゴルゴ13」 「新幹線大爆破」 「植村直己物語」 決めは 「北京原人 Who are you?」 作品に共通していえるのは、無駄なカットが多く、ダラダラ長い。 オープニングのファッションショーのシーンと、NYのカーチェイスは、あんなに長くなくていいな。 NYロケに関しては、金掛けたんだから、つかわないと、まずいだろっと、思ったのかねぇ。 映画は、編集と、無用なシーンのカットが命だ。 

 共演がジョージ・ケネディだもの。 しかし、ジョージ・ケネディは、デカイ。 優作よりも、一回りデカかった。 原作は、すごく良いのだが、監督のセンスの悪さが要所要所に出ている、それが、悲惨な因縁めいたもんを水で薄めすぎたカルピスになっちまって、味がしない、残念だ。 絶対、もっといい映画になったはずなのになぁ。 それでも、ラストの岡田茉莉子の名演技で、救われている。 あの母としての演技は、「犬神家の一族」 の高峰三枝子に匹敵する名演技だと個人的には思っている。 
 「私は、既に一つ麦藁帽子をなくしています・・・」 という行が、妙に涙を誘うのだ。 後半は、優作も太刀打ちできず、完全に持ってゆかれたな。 しかし、後半の優作の顔は、薬中患者みたいメイクになっておる。 設定として、NYから帰ってきて、そのまんま逮捕に向かっているという設定なんだろうけれどな。 

 この映画も、誰が悪かったのか? という問いかけがあると思う。 一番、駄目なのは、バカ息子だと思えてならないけれどな、それを叉、庇ってしまった母親にも罪はある。 大事にしておった最期の麦藁帽子も、霧積に落としてしまうことになる。 ラスト、ジョージ・ケネディが刺されて死ぬんだが、彼本人は、なぜ、ここで死ななければいけないのか? と、自問しているであろう。 Mama, Do you remember...