知性と頭脳を失ったホームズ

 俺の中で、ちょっとしたホームズブームだった。 発端は、CSでやっておる エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY であった。 結構前からやっておったのだが、観ておらんかった。 何故に観始めたか? 彼女が観ておって、しきりに面白いと言っていたから、観てみようかなと思い、観始めたら、はまった。 

 これ、純粋なホームズものではなく、NYと題名に付いておるとおり、現代のNYが舞台なのである。 薬物依存症のホームズの担当医のワトソンという設定。 ワトソンが女性で、 ルーシー・リューがやっておる。 ここ数年、メジャーな映画俳優が、テレビに出るようになっておる。 映画で、活躍の場がなくなって、テレビに流れてきたのかなぁ? とか、思ってしまった。 見慣れた役者さんがテレビに出ているのは、見ている側としては、大歓迎だったりする。 

 プロットは、基本的にホームズの行動パターンを踏襲しておる。 薬物がちょいとばかり好きで、蜂が大好き、兄貴がおって、相棒は、ワトソン!!

 推理小説で、世界で一番映像化されておるのは、シャーロック・ホームズらしい。 イギリスのみならず、世界各国で作られておるからな。 ホームズを題材にして、小説も多々出されておる。 これも、そんな一遍 Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

 出演者の中に真田広之が名を連ねていた。 海外で活躍する日本人の役者は、渡辺謙よりも、真田広之の方が気になっている。 活動の幅も、テレビ、映画、国を選ばずに出ておる。 そして、真田がチョイスする作品は、内面の表現を要求される作品が多いように思う。 今回の真田広之は、絞って、若返っておってちょいとビックリ。 

 この映画、90歳を過ぎて、ボケ気味になったホームズが、自分自身が引退する切欠となった事件を忘れてしまい、それを思い出そうとする物語である。 今まで、描かれてきたホームズ像とは、まるで違う、聡明でも切れ者でもない、只の老人と化してしまったホームズが描かれている。 
 
 ある意味で、創造の産物としてのホームズではなく、血と肉を与えたホームズなのだ。 

 もし、自分自身が犯した罪があり、その罪を思い出すことが出来ず、後悔だけがそこに残ってしまったら、どうするだろうか? その感情は、俺自身が描いた幻と思うのだろうか? 俺の気性からして、それをホームズと同じように突き詰めてゆくだろう。 

 忘れるために酒を飲むのも方法であり、金に頼るのも方法だ、快楽に身を任せるもよし。 俺のポリシーは、朝目覚めて頭に霧が掛かっておらず、前日から考え事を引き続き考えることが出来ることだ。 アホみたいかもしれないけれど、それが今は、好きなんだ。 もし、考えずに物事を解決する術が見付かったら、それに乗り換えると思う。 今は、まだ見付かっておらんから、考え続ける。

 ホームズは、自分自身の孤独を埋め合わせるために知性と頭脳を使った。 歳を食い、知性と頭脳を失ったホームズは、自分自身の老いを受け入れることにしたのだ。